ページ

2012年12月20日木曜日

18. 登る男2


光る壁を登っていた。

登り始めた瞬間、異変に気付いたが、かまわなかった。

まもなく、小物体がロジへと接近し、奇妙な光を放ち始め、次々に飛んでくる攻撃を避けねばならないようになったのだが、ロジは柱から柱へと飛び移り、登り続けた。

ロジにとって、否、RU連合(リソースアップ連合)に所属するリトルスピーシーにとっては、山に登ることは日常であった。RU連合(リソースアップ連合)とは、ウィルダネスにおいて、ナチュラルリソースを生活に役立てることができるようにコントロールする組織のことだ。

もちろんウィルダネスにも科学技術はあり、常に、山を身体一つで登らなければいけないということではなかったが、RU連合(リソースアップ連合)は、仕事上、火山を管理しなければいならない時の為に、身体だけはかなり鍛えられる。

それに、リトルスピーシー全体としても、オリジンよりは、丈夫な体や筋肉を持っていた。
 
上へと登るにつれ、三角形をした飛行物体や、星のような形のものが徐々に増えた。

一斉に、突進をしたり、レーザーをうちこんだりしてくるが、ロジは反射神経と勘を使い、身体を動かした。久しぶりに動いたので、からだが重いと感じたが、どうやら、それだけではないようで、オリジンの身体は、リトルスピーシーのそれとは仕様が違うのだ、とロジは気付いた。

地面がかなり遠くなり、空気も肌寒く感じるようになってきた。さらに、白い球体に何本もの脚が付いている、まるで蜘蛛のような見た目のサイボーグも現れ、―――どうして壁をよじ登ってこられるのかは全く謎であったが―――その脚でロジをとらえようとしていた。

また、空飛ぶ機体は驚くほど増え、”飛行車”なる、オリジン自身が操縦するものまで現れた。情報は全て画面型PCが教えてくれたのだった。

自分でもどうして壁をよじ登っているのかわからなかった。もし聞かれたら何と答えようか、運動不足解消とでもいおうか、などと考えながらも、ロジはものすごい勢いで壁をよじ登って、否、”飛び上って”いった。ただ、頂上を見てみたかった。そびえたつ嘘の山の上からはどんな景色が見られるのか、知りたかった。攻撃はますます激しくなり、ロジは休むことなく動き続けた。

その時、1台の車が、急に、1メートルもないところまでスピードを上げ近づいた。

その表情からはなにも読み取ることはできなかったが、ロジは車に乗るオリジンをみた。

車に着くレーザーの銃口を自分へと向けていた。

考えなかった。

上へと動いていたが、そのまま勢いで車上部へと飛び乗る。

ロジがいた場所には、太いレーザーが照射され、反射されていた。

間をおかず、柱へと飛びつく。

車がよろけているのを一瞥し、再び上へと向かう。

ついに、ロボットたちは列をなし、レーザーや一斉衝突で攻撃をしてきた。ロジは、素晴らしい連携だ、と思ったが、身体に任せ、構わずよじ登っていく。

勢いは止まらない。

縦に列をなして、レーザー攻撃を繰り返す、三角形や星型の飛行体を踏みつけ、一気に上へと登り、飛行体の届かないところまでゆく。

それをまた飛行体が追いかけ、さらにロジが逃げる。

それをものすごいスピードで繰り返すのは、美しかった。

頂上はまだ見えない。

このエントリーをはてなブックマークに追加 -->

0 件のコメント:

コメントを投稿

このエントリーをはてなブックマークに追加