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2012年12月7日金曜日

7. 興味があったんだ。面白そうだったから



ウィーンはいろいろなことを説明してくれた。建造物や生活様式、彼らの見た目の姿など、基本的には私たち人間のそれと似ている。そういったところが類似点であるが、相違点の方がより多い。

まず、ウィーンのいる研究館は、オリジンの世界のほぼ中心部に位置している。中心部は円を象られていて、セントロと呼ばれており、そこには、各コミュニティの中でも極めて洗練された施設やグループが集められているらしい。つまり、内側に行けばいくほど、その分野での価値が高いということになる。ただ、外に広がっていっても、決してないがしろにされるわけではなく、むしろその価値をそのままに受け入れ、一つの違いという認識をされるようだ。

科学技術はやはり発達しており、画面型PCとワープが、それらの基盤となっている。この偉大な2大発明により、さらなる高等技術を可能にし、場の隔たりがなくなることにより、政治や教育の世界にも革命をもたらした。

島の外側は、そのほとんどが、森や海などの自然であり、創造されうるほぼすべての自然環境を実現するほどの大きさを持つ。壮大な自然に、高度な技術。そして、人々の高い意識が、オリジンの世界を作り上げているのだ。

「この島の生態系は、見事なバランスを保っている」
対岸が見えないほどに広い川を眺めながら、ウィーンがいった。
「科学の発展と自然環境の調和が完璧だ。だから僕たちはやっていける。先人たちは、それができなければいけないことを、知っていた。オリジンの身勝手な好奇心の追及は、自然を滅ぼし、結果的に身を滅ぼす、逆に、あまりにも環境中心的だと、何もできなくなってしまう。つまり、バランスだ。バランスが大事なんだ」
聞きながらロジは、色々なことを吸収しようと努めた。
「それは、目に見えることばかりではない。本当に微妙な影響を大事にする。それこそ蝶の羽ばたき一つで、というように。その基本としての、エコシステム(生態系)だ」
エコシステム。ナチュラルリソースのみが”システム”である荒野にすむロジには、聞き慣れない言葉であった。
「聞き慣れない言葉だろうと思うが、よく聞いてほしい。そして、オリジン・ランドでのエコシステムには、君たちの住む、ウィルダネスも含まれている」
「ウィルダネス?」
「僕たちの世界では、君たちリトルスピーシーが住んでいる場所を、ウィルダネス・アイランドと呼んでいる」
「ウィルダネス・アイランド・・・」
「君が良く知る、あの火山によって、オリジン・ランドとウィルダネスの繋がりは保たれている。そして、実は、ウィルダネスはオリジンにとって、エコシステムとして大きな意味を持つ」
「どういう意味?」
「詳しいことはまたあとで説明するが、ウィルダネスがなければ、おそらく、オリジンは、生きてゆけないか、大きな革命を迫られることになるだろう」
「・・・」
「オリジンにとって、生態系が、重要な意味を持つということ、さらに、ウィルダネス、リトルスピーシーは、その中でも特に異質だということ。この2つから、オリジン・ランドには、ウィルダネスに関するルールがある」
ウィーンはロジを一瞥した。
「その中でもとくに重要なものは、”リトルスピーシーをオリジン・ランド連れて来てはならない”ということだ」
彼はにやりと笑った。
「そんな・・・じゃあ・・・バレると君はどうなるんだ?」
「オリジン・ランドには、重い刑罰やらなにやらはない。ただ、そのレベルとなると、更生期間と称して、精神が壊れるまで飼いならされるだろうっていう噂さ」
「俺の姿が変わっていてよかったな」
「まあ、あくまで噂だ。ただし、割と信憑性はあるけど」
「どうして危険な思いをしてまで、こんなことをするんだ?」
ウィーンはロジの方を向く。
「知りたいか?」
笑いながら彼はたずねる。
「興味があったんだ。面白そうだったから」

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