彼の来訪の衝撃を和らげるのに、3日3晩かかり、ロジは、ほとんど睡眠をとることなく、ひたすらそのことだけを考えた。やがて、やはりというべきか、一つの考えにたどりつく。「あいつが話していた世界を見たい。そこへ行くしかない。ここにいても何も変わらない。自分の世界を変えたいのなら、今できる何かをするしかない」。ロジは、青年のすむ世界へ行くにはどうすればいいのかを考え始めた。
ロジは、ウィーンが最後に残した言葉を思い返していた。あの火山―――。
当たり前のこととして起こっていた現象。ゴミが山から噴出し、荒野に降り注ぐ。そして、それを生活に分配するために、RU連合が動く。おかしいのだろうか。なぜこのような山が存在しうるのだろうか?大量の物質はどこから生成されているのか?それは科学的に合理的なのか?それが当たり前のことだったから、わからない。そういうものではないのか。あれが自然のものだと思っているのか?そうだ、あれはリトルスピーシーにとっては、自然のことだった。何か大きな力が働いていると感じたことはないのか?
ロジは、山頂に登り、いつもゴミが出てくる、大きな穴を眺めていました。無限のリソース生成所。その仕組みも、正体も、誰もわからない。リトルスピーシーの聖地として、大昔から変わらずここにあり続けた。誰もその力を疑おうとはしない。何かがおかしいと感じることは誰もなかった。どうすればいいかはわからなかったが、鍵はここにしかないとロジにはわかっていた。
次の瞬間、ロジは、穴の中へと飛び込んだ。
真っ暗な穴の中を進み、下へ下へと落ちてゆく。目下に底の気配を感じ、身構えると、予想していたものではなく、水中で落下する時のような感覚がロジにおこった。それは一瞬であったが、長い間そこにいたような気もする、不思議な時間だった。
テレビのチャンネルが切り替わるように、ロジの目の前は白い光に包まれました。突然の光に視力をなくし、ロジは光の雨が降り止むのを待ちます。
だんだんと光は薄くなり、床、壁、天井。小ざっぱりとした部屋に自分がいるのがわかる。ただ、リトルスピーシーの家にこんなに整った素材はめったに使われない。ここはどこだ?
ロジは大きめのお風呂くらいの大きさの機械の上にいるのに気付いた。円になっており、高さは椅子程度、金属で、ひんやりとした触りがロジを目覚めさせる。周りにもたくさん、何に使うのかよくわからない機器が棚の上に置かれていた。整理された部屋に、光る壁が見える。画面型PCと呼ばれるもので、3Dの液晶を腕時計型の本体で操作し、好きな時に好きな場所で出現させることができるものだ。そして椅子に座って液晶を眺めているのは―――
「こんにちは」
ウィーンが、目をキラキラさせ、にっこりとこちらを向いた。
「たどりついてくれてありがとう。僕たちの世界へようこそ」
彼はわくわくしながら言った。
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