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2012年12月21日金曜日

19. 登る男3


動揺した。

映し出された細身の男は、まぎれもなくロジであった。

どうして?―――どうやって―――?

このままではセキュリティに捕まってしまう。

どうすればいい。

ここでロジが捕まれば、全ての計画は台無しになってしまう。

あいつは何をしているんだ? 

頭を働かせるために、必死で心を落ち着かせようとした。



「最初より危なっかしくなったな」

横にいる男がいった。画面を見ると、確かに、ロジの動きは遅くなっているように感じた。それでも、次々に迫る攻撃を受け流しながら進む運動能力は脅威に値するが、少しずつ疲れていっていることは明らかで、ウィーンをさらに焦らせた。

どうすればいいのか考えつかない言い訳をするように、ウィーンは画面に映るロジを見つめていた。

見れば見るほど、美しい動きである。
手が進み、足が進み、回転し、飛び跳ねる。

その場にいる全てが、するべきことを忘れてしまうような、つい見入ってしまう動きであった。



「何者なんだ。こんな動きは見たことがない」
「地方ものか?どうして今まで無名だったんだ?」

オリジンでは、ワープシステムによって、どれだけ地方出身であっても、自分をアピールするチャンスはあり、いわば、この機会均等により、各分野全体でのレベルの底上げがなされたのだ。



住所を聞かれた時の為に、ロジには地方のものを与えてあるが、あれだけ目立った後で、それが通用するかどうか、ウィーンは不安だった。

それ以前に、あれで言い逃れができるとは思えない、さらに、よりにもよって統合ワープシステムときたら、何らかの処分が下ることはもはや逃れようがなかった。



そんなウィーンの気持ちも知らず、連なるロボットたちを押しのけ、彼は塔を登る。

数機の飛行体が再び隊列を組み、レーザーを放とうと狙いを定め、さらに、左右上下からも数機、全体としては、かなりの数の機体に、ロジは囲まれ、低範囲高密度のレーザーが、高範囲高密度で、針山のように降り注ごうとしていた。

予測不能なジャンプと宙返りによる危機回避、イタチごっこが、結果として、パフォーマンス性を生んでいた。



―――ロジは、足を踏み外し、片手で柱にぶら下がる。

皆が息をのむ。



攻撃が一斉に襲いかかった。

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