動揺した。
映し出された細身の男は、まぎれもなくロジであった。
どうして?―――どうやって―――?
このままではセキュリティに捕まってしまう。
どうすればいい。
ここでロジが捕まれば、全ての計画は台無しになってしまう。
あいつは何をしているんだ?
頭を働かせるために、必死で心を落ち着かせようとした。
「最初より危なっかしくなったな」
横にいる男がいった。画面を見ると、確かに、ロジの動きは遅くなっているように感じた。それでも、次々に迫る攻撃を受け流しながら進む運動能力は脅威に値するが、少しずつ疲れていっていることは明らかで、ウィーンをさらに焦らせた。
どうすればいいのか考えつかない言い訳をするように、ウィーンは画面に映るロジを見つめていた。
見れば見るほど、美しい動きである。
手が進み、足が進み、回転し、飛び跳ねる。
見れば見るほど、美しい動きである。
手が進み、足が進み、回転し、飛び跳ねる。
その場にいる全てが、するべきことを忘れてしまうような、つい見入ってしまう動きであった。
「何者なんだ。こんな動きは見たことがない」
「地方ものか?どうして今まで無名だったんだ?」
オリジンでは、ワープシステムによって、どれだけ地方出身であっても、自分をアピールするチャンスはあり、いわば、この機会均等により、各分野全体でのレベルの底上げがなされたのだ。
住所を聞かれた時の為に、ロジには地方のものを与えてあるが、あれだけ目立った後で、それが通用するかどうか、ウィーンは不安だった。
それ以前に、あれで言い逃れができるとは思えない、さらに、よりにもよって統合ワープシステムときたら、何らかの処分が下ることはもはや逃れようがなかった。
そんなウィーンの気持ちも知らず、連なるロボットたちを押しのけ、彼は塔を登る。
数機の飛行体が再び隊列を組み、レーザーを放とうと狙いを定め、さらに、左右上下からも数機、全体としては、かなりの数の機体に、ロジは囲まれ、低範囲高密度のレーザーが、高範囲高密度で、針山のように降り注ごうとしていた。
予測不能なジャンプと宙返りによる危機回避、イタチごっこが、結果として、パフォーマンス性を生んでいた。
―――ロジは、足を踏み外し、片手で柱にぶら下がる。
皆が息をのむ。
攻撃が一斉に襲いかかった。
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