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2012年12月13日木曜日

10. 出来ないことは、出来ないと思い込んでいること



「さっき言っていたこと、説明してほしい。リトルスピーシーは、君たちのなんなんだ?どうして、オリジンにとって、リトルスピーシーがそこまで重要な意味を持つ?」

ロジの問いを受け、ウィーンは黙って画面型PCを操作する。何かを説明する時、いちいち、こういった類のものを簡単に扱えれば、便利だろうとロジは思った。画面には、きれいな丸よりも少しつぶれた形をした星―――星というよりも、島といった方が適切かもしれない―――がうつしだされた。ウィーンが説明を始めるようだ。

「これは、ある惑星の図だ。惑星なので星だが、形を見てもわかるように島といった方がしっくりくる」

海に浮かぶそれのように、上部に、自然や豊かな土地を見ることができ、下部は、海につかるそれのように、岩や土で構成されているように見えた(ロジは、”島”という意味がわからなかったが、黙って聞いていた)。その形は、丸より少しつぶれたというより、そもそも”球”と呼べるかどうかも疑問である。

「今うつっているこの島の、上側」

島の上半分、緑に守られているかのように豊かな土地が、ウィーンの操作により、明るく光る。

「これが、今僕たちのいる、オリジン・ランドだ」

島の下側が光る。

「そして、下側が、リトルスピーシーの住む、ウィルダネス・アイランド」

「なんだって・・・?」

「そう。この2つは、同じ惑星の上にある」

ロジは驚いた。ここへ来るとき、確かに、山を下へ下へと落ちて行った。しかし、ロジは何かにつきあたり、空間を超える感覚を覚えた。まさに、物理的な”下に”あるとは、考えもしなかったのだ。

「これが最初の秘密だ。秘密といっても、リトルスピーシーが知らないだけだが」


「考えもしなかった・・・。こんなにも近くに、こんなにも違う種が存在しているなんて・・・」

「そう思うのも無理はない。君たちリトルスピーシーは、あの広大な荒野にいたのだから」
「むしろ少しショックだな・・・」
「・・・そう、だが、君が思っている以上に、エコシステム的な意味で、僕らは密接にかかわっている」
ウィーンは画面PCに向き直り、説明を続ける。

「あの”火山”によって、僕たちの世界は繋がっている、というのは説明したよね?もちろん、物理的な意味で繋がっているわけではない。ただ、僕たちには、ワープシステムがある。火山の奥に、ワープシステムを設置し、コネクションルートを作った。誰がやったかもわからないほど昔の話だけどね」

見慣れた山の映像がうつしだされたと思うと、真二つに分かれ、断面図が現れた。山の中央下部が青白く光り、ワープのイメージを分かり役示している。
「ちょっと待って。そもそも、もともと一つの惑星なら、どうしてリトルスピーシーは、オリジンを見つけることができなかったんだ?荒野の果てと、オリジンの森の端は、ぶつかるはずだろう。俺たちは、荒野が果てしなく続くと思いこんで―――」

「その通り、リトルスピーシーは、思いこんでいるんだよ、荒野が続くことを」

「そんな・・・そんなことがあり得るのか・・・?」
「そう、そこだ。そこが僕にもわからない。何故、これほど知能が高いリトルスピーシーが、地の果てを目指そうとしないのか。オリジンへとたどり着けないのか。そこにも何らかの意思が働いているのかもしれないが、それはまだ分からない・・・」
「どちらにせよ、そんなことは想像もつかなかった・・・信じられない」
「今まで話したことも、これから話すことも、すべて真実だ。もし聞きたいのなら、続きを話すが、必ずしも聞く必要はない。どうするロジ?」

ウィーンは真剣な眼をしていた。ロジは、これだけの真実に打ちひしがれた。こんな夢のような場所が、こんなに近くにあった。それも、自分たちが、ないと思い込んでいただけだったのか。そして、ロジにとってはもはや監獄のような場所で、何も思うことなく暮らしていたのか。だとしたら、それはあまりにも間抜けだ。

「今日はもうやめておくか?」

「いや・・・聞かせてほしい・・・どうすればいいのかを知りたい・・・」

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