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2012年12月22日土曜日

20. 登る男4


一瞬たりとも、考えなかったのか。



トップキャビネットは、考えなかったのだろうか―――これはやり過ぎだと。

レーザーなど、一発当たれば身体を突き抜け、周りの細胞まで焼死してしまうというのに、あの数のレーザーで打ち抜かれたオリジンが(ロジはオリジンではないが)、どうなるかを予想したのだろうか。

何かほかにも方法があったのではないかと考えてしまう。



ウィーンが一瞬で思いを巡らせたのは、そのようなことだったが、それには何の意味もなく、ただ遅かった。

映像が、数機体にさえぎられるが、やがてカメラが対象をとらえる。



ロジは無事であった。


やはり、その場にいた何人かは同じようなことを考えていたようで、安堵のため息を漏らす。

どうにかしてレーザーをよけたようだ。

ぶら下がったままだったが、すぐに体勢を立て直し上へと飛び跳ね、再び応酬が始まり、無数に打ち込まれる光の束を、くるくるとよけながら進む―――彼の通った後には、赤い血が滴っていた。何本かのレーザーは避けられなかったようだ。

 
「ここまでやる必要があるのか。あのレーザーを全部浴びたら、即死だろう」

画面にはずらりと何十機もの機体が群れていて、一斉攻撃を繰り返す。壁を這いあがるスパイダーサイボーグからも、レーザーをはじめ、物理攻撃も仕掛けられる。

どう考えても一人の人間に対する戦力ではなく、次々に光を放ち、対象を狙い続ける群れからは、戦争のような残酷さすら感じられた。

やりすぎだった。

ムキになっているにしても、子供の喧嘩レベルではない。


「ここまでして何がしたいのだ・・・」

誰かが言ったが、それはもっともだ、とウィーンも思った。


しかし、不思議なことに、ここまで、ある種の執念を持ち、必死になっている姿を見ると、頭がおかしいと思うのと同時に、この男に興味が湧いてくる。一種の同情のような感情で、目の前に移る、もはや血まみれの男に惹かれてしまう。


「何も考えてないだろう・・・迷惑には変わりない」

そう言うものもいたが、一切表情を崩さず登り続ける彼は、みているオリジン全てに対して、確実に、自分の方への流れを作っていた。



ウィーンは考えていた。



「みんな」






「彼を救おう」

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