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2012年12月14日金曜日

12. 僕たちの共通意志、それは明確にしておこう



それから2人は、戦うための戦略を作り始めるために、まず、2人の到達地点を決めることにした。
「僕たちの目標、共通意志だ。それは明確にしておこう」
電子画面をボード代わりにして、ウィーンが提起する(―――”共通意志”)。
「目標か・・・。そうは言っても、どこをどうすればいいのか」
「君はどうしたい?」
ロジは、ううん、と唸る。
「前にも言ったように、僕を含め、他のみんなも、ここへ連れて来て、一緒に暮らしたいと思う。家族や、友人たち、それに、その家族も」
「それだけで十分かい?」
一瞬考えてロジは答える。
「いや、種としてここに暮らしてゆくなら、種としてここに来る必要があるのか。つまり、家族や友人だけでなく、リトルスピーシー全体として、ここで暮らす必要がある」
ロジの言葉を聞きながら、ウィーンが板書してゆく。
「おーけー。やっぱりそこがゴールみたいだね。ところで、ウィルダネスには、学校や教育機関はあるのか?」
興味のあることを聞く時の、あの目をして、彼は言う。
「同じようなものはある。成長した社会種が、ナチュラルリソースのことや、言葉、社会の仕組みなどを教える」
「興味深いな。やはり、君を連れて来て正解だった。とても面白いよ。後で考えればいいが、それをどうオリジンの社会の組み込むかも面倒だろうな」
画面には新たに板書される(“コラム:教育の可能性!”)。
「途中で他の選択肢も出てくるかもしれないが、とりあえずこれで行こう。僕たちの目的は、”リトルスピーシーの種全体を、オリジン・ランドへ移住させること”だ」
ウィーンは最後に、”革命”の文字を添えた。

次に2人は、”革命”をもたらす方法を話し合い、議論した。
まず、合法的に問題を解決する方法だ。概略としては、トップキャビネットおよび特殊事項管理部へ、議題を提出するというようなものだった。実際にリトルスピーシーをここへ連れてくるための正当な意見書を作る。しかし、リトルスピーシー自身で、そのことを意見しなければいけないので、工夫が必要だった。もちろん、ロジ一個人としてはそれに賛成だが、彼がオリジン・ランドにいることを知られてはならないし、他のリトルスピーシーの声明も、正式なものとして、集めなければならなかった。よって、ウィーンが提案できることは、”ウィルダネス・アイランドにおける視察およびリトルスピーシー種への意識調査”という、何とも面白みのない議案であった。
「この前の僕の訪問は、違法だからね。正攻法で行きたいなら、正攻法で通さないと」
こんなことなんともないというような顔で彼はそう呟いていた。意見書提出とともに、彼らは、情報を探し始めた。リトルスピーシーとの歴史から始まり、ワープシステムの仕組みなどの科学、星の生態系やメカニズムなどの基本的な知識まで、役に立ちそうなものは拒まず吸収した。また、ロジは、ウィルダネスにはない言葉や物、文化を次々と覚えて行った。トップキャビネットの訪問があってからしばらくは、外出することもなかったが、それにはウィーンがすぐさま対応した。ある日彼がロジに渡したものは、銀色をした、羽根のネックレスであった。

「ウィーン、まさかそういうことだったわけじゃ・・・」

「違う。これは、君の磁気の乱れを抑えるために僕が作ったものだ。それをなるべく24時間つけていてほしい。そうすれば、そう簡単には、トップキャビネットにも気付かれないはずだ」

時に、ばれたらとんでもないことをするくせに、こういう抜け目のないところは、さすがだと、ロジは思った。これによって、ロジは日中オリジン・ランドを回り、学ぶことができた。そして、同時に、ばれるとまずいことの計画も進めようとしていた。許可が下りずとも、問題なくリトルスピーシーをオリジンへ連れてくるという選択肢のためである。ただ、問題なく行うには、解決すべき問題は多かった。まず、当然、磁気のことである。ロジ一人ですら異常が起こり、把握できていない中、リトルスピーシー種すべてなど、到底できるはずもない。

「一人ずつ連れて来てこのネックレスつければいいんじゃないか?」

「つけるまでの一瞬でキャビネットは気付くから駄目だ。厳戒態勢中のやつらを甘く見ない方がいい」

リスクがあるなか強行することもできず、それに関しては、磁気の乱れについて科学的な根拠を探るしかなかったが、ネックレスのように簡単には行かないようであった。そして、他のリトルスピーシーを連れてくることが困難なだけでなく、ロジをウィルダネスへ帰すことさえできなかった。

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